【身近な話題】魚類標本の製作実習;鹿児島大学総合博物館本村研究室にて;クロザギ;2018年09月29日(土)

本日、台風接近の中、鹿児島大学総合博物館の本村研究室主催(魚類分類学)の「魚類標本製作実習」でした。採集したばかりの魚を針でヒレ立てをして、DNA用の肉片を採取。肉片は茹でて固定し、エタノール保存。魚の本体は、発砲スチロールの上に置き、ひれを広げて針で固定する。針は後から除くため、多くて構わない。ホルマリンを塗ってヒレを固定する。10分ほどで固定するため、針は全部抜く。体長を測定する。体長測定は最低限で、この他に測定部位が必要な場合は、順次増やす。体色が新鮮なうちに、すぐに、写真で接写する、水中に置いて接写(標本がてからない)。白背景と黒背景、光量を変えて1標本あたり約10枚の写真を撮る、台帳ラベルも写真を撮る。標本には、木綿糸で鰓から口に糸通しをし、布に印刷した台帳ラベルをくくりつける。ラベルは通し番号と記号で、台帳に は通し番号と同定名(種名が解らない場合は属名で)、測定値、産地、採集者、日付等々の標本情報を記入しておく。魚本体の標本は、ホルマリンで1週間固定。ホルマリンが浸透し、全身が固定されたら、水道流水で2,3日間、ホルマリン抜き。70%エタノールの液浸標本とし、ポリカーボネート製(ガラスは地震等に弱い)標本ビンで永久保管。液浸標本にすると魚の色は完全に抜けてしまいます。 調査先では、ホルマリン漬けまでを行うそうですが、撮影装置の一切合切は調査地に持参されるそうです。民宿や宿泊施設では徹夜の作業で、調査船の場合は、揺れながら船上での作業になるとのこと。
 このような手間のかかる丁寧な標本製作を流れ作業でやっているのは、世界中でも2,3カ所ぐらいなものだそうです。調査地では、1日2,3時間睡眠で、毎日数千サンプルを処理するそうです。おかげで、日本の魚類図鑑は、世界有数の鮮明な写真で埋め尽くされています。しかし、国内第二位の標本数とかいう10万本の液浸標本の並ぶ標本室も凄かった....これでも、米国スミソニアン博物館の7000万点には足下にも及ばないそうですが。土産にポスター(種子島の魚類、笠沙の魚類、鹿児島のエイとサメ)を3枚もらいました。ポスターも標本写真鮮明で、芸術的です。(写真は針でひれを固定したクロサギ

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